後藤浩輝騎手死去

 2月27日に突然、後藤浩輝騎手が40歳の生涯を閉じました。土日の競馬は深い悲しみに包まれるなかで行われ、中山競馬場の地下1階に設けられた献花台と記帳所には長蛇の列。印象的だったのは若い女性だけでなく、目を赤く腫らした中年男性が多かったこと。奇抜なパフォーマンスが取り上げられがちでしたが、常に勝負を仕掛けていく姿勢は馬券ファンの熱い支持を受けていました。

 週末の中山、阪神、小倉競馬場には計1335の献花と9136人分もの記帳が寄せられ、「彼の分も私たちが頑張っていかないといけないと思う」と、日本騎手クラブ会長の武豊騎手。みな、黒い喪章をつけての騎乗です。

 1日の中山9R富里特別を、後藤騎手から乗り替わったダイワレジェンドで逃げ切った三浦皇成騎手は、ゴールの瞬間、そっと左腰につけた喪章を握りしめました。検量室に引き揚げてきたときには涙をこらえ切れず、「本当なら後藤さんがここにいるはずでした…。この一戦には重圧があったし、『見ていてくれ』という気持ちで乗りました」。その思いはきっと届いたはずです。

 騎手仲間はもちろん、ファンやすべての競馬関係者は、騎手・後藤浩輝のことを忘れません。 (競馬班)

 
後藤浩輝通夜
 

 2月27日に40歳で亡くなった後藤浩輝騎手の通夜が2日、茨城県内で行われた。武豊、蛯名、横山典、柴田善、内田、田中勝らベテランから、岩田、福永、池添、北村宏、田辺、三浦ら多くの騎手、また調教師、親族、関係者ら約150人が参列した。

 喪主を務めた妻の麻利絵さんが「後藤浩輝の笑顔を忘れないでください」と最後に挨拶すると、こらえきれず涙を流す参列者の姿もあった。葬儀・告別式は3日に行われるが、師匠の伊藤正調教師は「後日、ファンの皆さんにも送ってもらう場をつくりたいと思います」と、近日中に都内で「お別れ会」を開く用意があることを明かした。